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規制によってゆがんだクレジット市場

クレジットをビジネスとして成り立たせるための収益源は、消費者と加盟店から徴収する手数料です。クレジットカードの場合はこれに加えて年会費があります。最近のクレジットカード利用は圧倒的に一回払いが多くなっています。一回払いで手数料が取れればいいのですが、仮に取るとすれば現金で払う人の方が多くなつてしまいますから、いくらポイントのメリットがあるとしても、それはあり得ません。分割払いであれば、クレジット会社は加盟店手数料と消費者の分割手数料の両方を手にすることができます。この二つが揃って初めてクレジットはビジネスとして成り立つわけです。ここで書いている高度経済成長が終わったころの時代のクレジットは、現在と違って分割払いがよく利用されていました。

ようやく体制が整って銀行の一部門として機能し始めた銀行系カードは、分割払いが認められていませんでした。自社カードではなく、第三者型の分割払いのクレジットカードを発行するためには、割賦販売法の規定によって経済産業省の登録を受けなければならなかったからです。この規制は一九六一年に割賦販売法ができる以前から、行政指導で規制されていました。現代では考えられないような強力な行政権力が当時はあったのです。この発端は日本信販が全国のデパートと提携して分割払いができるクーポンを発行していたことにあります。クーポンというのは分割払い専用の証票で、現代のクレジットカードと同じ機能を持つものです。日本信販が大型店だとすると、各地には中小の商店が集まった商店組合があり、地域の商店街を対象にチケットというクーポンと同じ機能を持つ証票を発行していました。

大規模店舗が事業を拡大すると、中小商店街は生死の問題にかかわる、だから大規模店を規制して中小商店街を保護しょう、そのために大規模店のクレジットカードを扱う信販事業者は、一都道府県内に限定して事業を行うこと。この規制は一九五九年(昭和三四年)に出たことから昭和三四年通達といいます。割賦販売法が制定される二年前のことです。こういう規制が出た背景にあるのは、中小商店組合の政治力にほかならないのですが、この結果、分割払いクーポンで全国展開していた日本信販は、いくつかの会社に分割せざるを得なくなりました。